Korosuke's blog

大学の授業のまとめ、イギリスでの生活など、気ままにつづります。

国際投資法の法源

国際投資法の法源

 

国際投資法は国際公法の一種である。ということで、法源についてもICJの規定に従います。(国際投資法が公法だなんて知らなかったワ、と授業中に発言していた人もおりましたが…)

【おさらい】

国際法の法源 - ICJ(国際司法裁判所規定) 38条

・条約

・国際慣習法(state practice and opinio juris

・法の一般原則

・補助手段としての先例及び学者の学説

 

国際投資法の法源

1. 協定

(1) 投資協定 (Investment Treaties)

・BITs (Bilateral Investment Treaties)

 ホスト国が外国投資家に対して負う義務について、国家間同士で取極めたもの。国家     間の関係について主に定めている。

・ICSID Convention 

 ホスト国と外国人投資家間の紛争解決について、仲裁や調停といった手続的な枠組み     について規定している。投資家の保護に関する実質的な基準については定めていな       い。

・特定のセクターに関する投資協定

 e.g. エネルギー憲章条約

   エネルギー原料・三品の貿易及び通過の自由化、エネルギー分野における投資の           自由化・保護等について規定。特徴の一つとして、無差別の取り扱いのpre-              establishmentを奨励する(hortatory)規定がある(10条2)。

・投資保護規定と投資の自由化規定を含む、多角的投資協定は設立されていない。      OECDの支援のもとで行われたMultilateral Agreement on Investment(MAI)の交渉が   あったが、1998年に交渉は中断している。

 

(2) 他の投資関連国際条約

・WTO(GATS, TRIMS)

  WTO協定のうち、サービス貿易に関する一般協定(GATS)と貿易関連投資措置に関
    する協定(TRIMS)は、投資に関する規律を規定している。

・地域協定の投資章

  投資保護規定と投資自由化規定、両方を含む場合が多い。

・MIGA (Multilateral Investment Guarantee Agency: 多数国間投資保証機関)設立条約
  MIGAは、国連の専門機関で、途上国への対外直接投資(FDI)を促進するために政   治的リスクや非商業的リスクから生じた損失に対する投資保証を提供している。

 

(3) 投資以外について定めている協定

投資の正当性を判断するにあたり、投資保護・促進と環境保護、人権保護の関係がしばしば問題になる。

・Multilateral Environmental Agreements (MEAs) 多国間環境協定

・人権条約

 

2. 国際慣習法

協定が主な国際投資法の法源ではあるものの、国際慣習法も依然として重要な役割を果たしている。条約ベースのルールは国際法の一般原則に従って理解し、解釈されなければならない。

(1) 投資固有のルール

- International Minimum Standard(国際慣習法上の最低基準)

- Protection against expropriation(収用に対する保護)

 

(2) 投資関連のルール

- Diplomatic protection of aliens(外交的保護)

 国際慣習法上、個人が国家の国際法上の違法行為により損害を受けた場合、国籍国は  違法行為を行った国に対して責任を追及することが認められている。

 この保護制度について法典化しようとしているのが、ILC(International Law        Comission:国連国際法委員会)が作成したILC外交的保護条約草案である。

 

(3) 投資固有ではないルール

- 国家責任 (State responsilbility)

 国家はいかなる国際法の義務も違反してはならないという国際的な責任を負っている  という原則。

- 救済 (Remedies)

- 条約解釈 (Treaty interpretation)

 ウィーン条約31条、32条

 

(4) 慣習法と条約の関係

・慣習に言及している投資条約

 NAFTAでは、International Minimum Standardに関する規定がある。

 

3. その他の法源

・先例

 一般的な国際法と同様、国際投資法も先例拘束の原則(stare decisis)は採用していな  い。中央集権的な紛争解決システムの欠如、適用法の多様性といった側面はあるもの  の、仲裁裁判所はしばしば先のパネルの判断に重きを置いている。

 

色々足らない部分もありますが、今回はこの辺で。